ドライバーには、人の死傷や物損を発生させないために様々な注意義務が課されています。
法律と裁判例に基づいて、運転者に課せられる注意義務の一般例を8つとりあげ、4回シリーズでご紹介します。
【知っていますか?】事故を防ぐために運転者が守るべき8つの注意義務(第1回)
【知っていますか?】事故を防ぐために運転者が守るべき8つの注意義務(第2回)
●その5 交差点で右折するときの注意義務
交差点における右折車と直進車との接触事故は、交差点で発生する典型的な交通事故です。
交差点を右折するときには、対向直進車の動静に注意し、対向直進車の進路上の手前で一時停止しなければいけません。
では、対向直進車は通常の速度で走行してくることを想定していればよいのでしょうか。
判例には、対向直進車が指定制限速度を時速30km程度超過したままで突入してくる異常な事態があることを予測して、これとの接触事故を避けるために対向直進車の動静を注視しなければいけないとしているものがあります。
双方の信号が青の状態で、右折車と直進車が衝突した場合には、右折車に大きな過失が認定されます。
参考判例:大阪高判昭和53年5月25日(判時925号130頁)
●その6 他の車の後ろを走行するときの注意義務
道路交通法26条には次の規定があります。
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
また、道路交通法24条には次のように規定されています。
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
つまり、走行中の急ブレーキは原則として認められませんが、危険を防止するためにやむを得ない場合には禁止されていません。
そして、後続車には、前の車両が急に停止したときでも追突を避けることができるための車間距離を保たなければいけません。
子どもや動物が飛び出してきた場合などには、前の車のドライバーがとっさにブレーキを踏む可能性があります。
そのような場合でも追突を避けられるよう、十分な車間距離を空けて走行しましょう。
参考判例:札幌地判昭和43年11月4日(下刑集10巻11号1110頁)
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