ドライバーには、人の死傷や物損を発生させないために様々な注意義務が課されています。

法律と裁判例に基づいて、運転者に課せられる注意義務の一般例を８つとりあげ、４回シリーズでご紹介します。

 

【知っていますか？】事故を防ぐために運転者が守るべき８つの注意義務（第１回）

【知っていますか？】事故を防ぐために運転者が守るべき８つの注意義務（第２回）

【知っていますか？】事故を防ぐために運転者が守るべき８つの注意義務（第３回）

 

 

●その７　他の車の斜め後方を走行するときの走行義務

 

他の車が斜め前方を走行しているときは、車の影から歩行者が道路を横断してきたときに発見が遅れ、事故につながるおそれがあります。

 

そのため、減速して前を走る車との間隔を置き、歩行者がいても急停車すれば衝突を防止できるようにするか、前を走る車と頭を並べて死角を作らないように進行し、安全確認をする注意義務があるとしている判例があります。

 

道路交通法70条には次のように規定されています。

 

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

 

この規定は、運転者は道路状況に応じて安全に走行する注意義務があるという総括的な規定であるとされています。

 

参考判例：大阪高判昭和40年12月3日（判時440号55頁）

 

●その８　前の車を追い越そうとするときの注意義務

 

追い越しの方法は、道路交通法の28条以下に規定されています。

 

 

前の車を追い越そうとするときには、まず前の車両にウィンカーで合図を出し、前の車の右側から追い越します。

このとき、追い越しをしようとする運転者には、安全に追い越しできる場所を選定し、反対方向と前の車の前方の安全を確認した上で、安全な速度で追い越しをする注意義務があります。

 

判例には、前方に傘をさして片手でハンドルを持ち、不安定な走行をしている自転車が坂道を登っていた場合には、接触事故を起こす危険性が十分あることを推認し、安全な状態で追い越しができる態勢をとらせてから、自らも徐行して臨機の措置をとり得るようにする注意義務があるとしたものがあります。

 

 参考判例：高松高判昭和42年12月22日（判タ223号246頁）

 

 

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