骨折をすると知らない言葉がたくさん出てくる？

交通事故により、骨折をすると診断書やカルテなどでなじみのない言葉がたくさん出てきます。

交通事故において適切な賠償請求や後遺障害認定を行うためには、最低限の医療用語を知っておくことはとても重要なことですので、解説したいと思います。

骨の分類

〇骨は、「長管骨」、「短骨」、「扁平骨」、「種子骨」に分類されます。

長管骨は、棒状の骨です。

例）上腕骨、大腿骨、鎖骨、脛骨、腓骨、橈骨、尺骨

扁平骨は、うすく平らな形状の骨です。

例）肩甲骨、胸骨、腸骨、肋骨

短骨は、手根骨、足根骨などの短い骨です。

趣旨骨は、足、手、膝などの近くにある小さな骨です。

〇交通事故では、主に、長管骨と扁平骨の骨折が問題となることが多いです。

長管骨は、さらに「骨端部」（「骨頭」ともいいます）、「骨幹端部」（「頚部」ともいいます）「骨幹部」、にわかれます。

骨幹部は、文字通り、骨の幹の部分で、まっすぐの棒状の部分です。

骨端部は、「骨頭」ともいうように、骨の両端の丸い部分です。

関節に構成している部分なので、球体の形をしていたり、蝶番のような形をしていたりします。

この部分を骨折すると関節の可動域に影響することがあります。

骨幹端部は、骨幹部と骨端部の境目の部分です。

「頚部」すなわち首の部分というとわかりやすいかもしれません。

骨折の種類

〇原因による分類

・外傷性骨折：健康な骨が強い外力によって折れるものです

・疲労骨折：比較的わずかな外力が繰り返し同じ場所に加えられることによって、金属の疲労現象のようにその部位に骨折が生じるものです

〇折れ方による分類

・完全骨折：完全に折れたものです

・不完全骨折：一部が断絶したものの、一部がくっついているものです

〇骨折線による分類

・亀裂骨折：骨の外形は変わらず、いわゆる「ひび」が入った状態です

・圧迫骨折：脊椎が押しつぶされたときに生じる骨折です

※その他、骨折線の向きによって、横骨折、斜骨折、らせん骨折などがあります。

※第三骨片が生じる骨折は、通常、「粉砕骨折」と呼ばれます（「複雑骨折」と混同しやすいですが、複雑骨折は開放骨折のことです）

〇傷口による分類

・閉鎖骨折（単純骨折）：骨折部が外気と接していない骨折です

・開放骨折（複雑骨折）：傷口が開いて骨折部が外気と接ししている骨折です　　

〇遠位・近位

・近位単骨折：体幹に近い側の骨折のことです

・遠位端骨折：体幹に遠い側の骨折のことです

例えば、上腕では肩関節に近い方が「近位」、肘関節に近い方が「遠位」です。

いかがでしたでしょうか。骨折に関する最低限の用語を押さえておくことで、是非、適切な賠償請求や後遺障害認定のために準備をしておきたいものです。

一新総合法律事務所は、新潟市、長岡市、上越市、燕三条、新発田市、長野市、松本市、高崎市、東京都の9拠点に事務所を有する、新潟県内最大規模の法律事務所です。
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この記事を執筆した弁護士

五十嵐　亮
（いからし　りょう）

弁護士法人一新総合法律事務所　
理事／弁護士

出身地：新潟県新潟市　
出身大学：同志社大学法科大学院修了
新潟県弁護士会犯罪被害者支援対策委員会（平成22年～）、新潟県弁護士会常議員（平成28年度）、長岡警察署被害者支援連絡協議会会長（令和2年～）、長岡商工会議所経営支援専門員などを歴任しています。
主な取扱分野は企業法務全般（労務・労働・労災事件、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など）、交通事故、離婚。事故賠償チームに所属。
著書に、『労働災害の法律実務（共著）』（ぎょうせい）、『公務員の人員整理問題・阿賀野市分阿賀野市分限免職事件―東京高判平27.11.4』（労働法律旬報No.1889）があります。