依頼人は、看護師として稼働する傍ら、高齢の親と同居していたため家事労働を行っていましたが、本件事故の傷害により、働き方の変更を余儀なくされるとともに、ライフスタイルも大きく変更することになり、強い精神的苦痛を訴えておられました。

なお、ご依頼後、後遺障害の認定手続きを行い、外傷性頸部症候群、腰椎捻挫、背部打撲の傷害により、後頚部の痛み、両上肢のしびれ、背部～腰部の痛み、両下肢外側脚底のしびれの神経症状について、１４級の後遺障害が認定されています。

保険会社との交渉では、働き方・ライフスタイルの変更を余儀なくされたことをどのように金銭評価するかが争われました。

まず、後遺障害の認定手続きにおいては、依頼人の訴える神経症状が漏れなく診断書に記載されるよう、依頼人から症状を正確に聴取し、医師に対して、診断書の丁寧な記載をお願いしたことで後遺障害が認定されています。

次に、保険会社との交渉では、働き方・ライフスタイルの変更は強い精神的苦痛を伴うものであり、後遺障害慰謝料を訴訟基準の満額で応じるよう強く交渉し保険会社に認めさせました。

また、逸失利益の算出については、家事労働の逸失利益で通常計算される賃金センサスよりも40万円程度高い金額で算出するよう求め保険会社に認めさせました。

通常、保険会社との示談交渉において、後遺障害の慰謝料について、訴訟基準の満額で合意できるケースは少ないですが、依頼人の辛い気持ちを正確に伝えられるよう何度も打ち合わせを重ね、保険会社に通知したことが成果につながったのだろうと考えています。

また、逸失利益の算定にあたっても、通常よりも高額な水準で示談ができたのは、後遺障害によって、働き方の変更やどのような支障が生じたのかを正確に伝えられたことが成果につながったと考えています。