●民法上の使用者責任
従業員が社有車を私用で運転していた時に事故を起こし、被害者に怪我をさせた場合、運転していた従業員は被害者に対して損害賠償責任を負いますが、会社も被害者に対して損害賠償責任を負う場合があります。
民法第715条は使用者責任を定め、被用者が使用者の「事業の執行に際して」第三者に損害賠償責任を負う場合は、使用者も被害者に対して損害賠償責任を負うとしています。
「事業の執行に際して」は、運転者の行為が外形的にその職務の範疇にあるかで判断します。
会社名の入った業務用の自動車であれば該当する可能性が高いと思います。
●自賠法上の運用供用者責任
また、自賠法3条は運行供用者責任を定め、人身事故を起こした自動車の運行を支配し運行の利益を有する者は人身事故について責任を負うとします。
運転をしていた従業員と雇用関係があることや従業員に使用を許可していたことを根拠に使用者の運行供用者責任が認められる場合があります。
たとえ、無断使用であっても、これらの議論があてはまります。
従業員による社有車の業務外使用には十分に気を付ける必要があります。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月12日号(vol.132)事故賠償チーム連載10>
※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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