ドライバーには、人の死傷や物損を発生させないために様々な注意義務が課されています。
法律と裁判例に基づいて、運転者に課せられる注意義務の一般例を8つとりあげ、4回シリーズでご紹介します。
●その1 健康な状態で運転する義務
道路交通法66条は、次のように規定しています。
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
運転者は、心身ともに常に健康な状態で車両を運転しなければいけません。
たとえば、過労によって眠気を催すときには、随時停車して車内で仮眠をとり、疲労の回復をはかるといった対策をする注意義務があります。
特に高速道路では、ハンドル操作が少なく、景色も単調なため、眠気が起きやすくなります。
長距離のドライブでは、最低でも2時間に1回は休憩を取るようにしましょう。
参考判例:東京高判昭和28年12月23日(東高刑時報4巻6号196頁)
●その2 故障に気づいたとき直ちに運転を中止する義務
道交法62条は、次のように規定しています。
…運転者は、その装置が道路運送車両法第三章若しくはこれに基づく命令の規定又は軌道法第十四条若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等を…運転してはならない。
車の運転中に、重大な故障を発見した場合や、重大な事故が発生するおそれがあると認めたときは、直ちに運行を中止し、故障の箇所を点検整備する義務があります。
運転中に故障が発生したら、ハザードランプを付けて後続車にトラブルが起きていることを知らせ、安全な場所に停車しましょう。
次に、発炎筒と三角表示板で後続車に危険を知らせ、レッカー車を呼ぶか保険会社に連絡をしましょう。
参考判例:福岡高判昭和30年12月28日(刑事裁判特報2号追録1355頁)
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