ドライバーには、人の死傷や物損を発生させないために様々な注意義務が課されています。

法律と裁判例に基づいて、運転者に課せられる注意義務の一般例を８つとりあげ、４回シリーズでご紹介します。

 

注意義務その１とその２は、　【知っていますか？】事故を防ぐために運転者が守るべき８つの注意義務（第１回）　をご覧ください。

 

 

●その３　発車するときの注意義務

 

車を始動させる前には、運転席から身を乗り出すなどして車の死角部分を直接見るなどして、通行人との接触を未然に防止する注意義務があります。

 

車には、構造上、バックミラーやサイドミラーでは見えない死角が多く存在します。

特に子どもは背丈が低く死角に入りやすいため危険です。

また、車の下には子どもの遊具が放置されていたり、猫など動物がいる可能性もあります。

 

発車前には車の周囲を目視でチェックし、車の下や上に何もないことを確認しましょう。

 

参考判例：東京高判昭和53年４月12日（東高刑時報29巻４号65頁）

 

●その４　前方を横断しようとする歩行者があるときの注意義務

 

車の前方を横断しようとする歩行者がいる場合、車の接近に気がついていないときにはクラクションを鳴らしましょう。

 

歩行者はクラクションに驚き予想外の動きをすることもありえます。

運転者は、歩行者の行動に注意し、いつでも車を停車できるように徐行するなど、危険の発生を避ける適切な方法をとる義務があります。

 

また、道路交通法38条には次のように規定されています。

 

車両等は、横断歩道等に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

 

横断歩道を横断しようとする歩行者がいるときには、歩行者が横断できるよう、一時停止しましょう。

 

 参考判例：大判昭和10年７月６日（刑集17巻912頁）など

 

 

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