人工関節・人工骨頭とは？

人工骨頭について

交通事故により大腿骨頚部骨折や大腿骨骨頭骨折を負い、その後壊死を起こした場合に、大腿骨骨頭を切除し、金属またはセラミックでできた人工骨頭に入れ替えることがあります。

大腿骨頭は、股関節の付け根部分です。

股関節は骨盤骨側のソケットとなる部分と大腿骨側のボールとなる部分で構成されていますが、大腿骨頭はそのボールの部分です。

大腿骨頭は軟骨で被われ、関節内に深く納まっているため血管が少なく、血流障害を起こしやすい部位です。

血流障害を起こすと骨が壊死します。

壊死がひどくなると大腿骨頭が体重を支えきれなくなって、潰れてしまい痛みが出るため、人工骨頭が必要となるのです。

人工関節について

交通事故により膝関節に骨折等の傷害を負い、膝関節の骨と骨が合わさっている関節面が損傷したり、関節面に付いている軟骨を損傷すると骨折等が治っても、痛みが残る場合があります。

特に膝関節は、体重を支え、足を動かす重要かつ負荷のかかる関節なので、日常生活動作に影響を及ぼしやすい部位です。

保存療法を行っても効果がない場合には、人工関節形成手術を行います。

人工関節・人工骨頭の手術

手術を行う際には、変形し壊れた関節を、金属などの人個物に置き換えて関節機能を調整することになります。

人工関節・人工骨頭に置き換えることで、痛み軽減が期待できるとともに、日常生活動作の改善が期待できます。

人工関節や人工骨頭は、人工物ですので、摩耗やゆるみが生じるため、再手術が必要となることもありますが、耐久性は大きく進歩しているといわれています。

人工関節・人工骨頭と後遺障害

人工関節・人工骨頭への置換手術が行われた場合には、後遺障害等級認定を得ることができます。

各部位における後遺障害等級は、以下のとおりです。

上肢（肩関節、ひじ関節、手関節）

上肢（肩関節、ひじ関節、手関節）いずれか１つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合、後遺障害等級１０級に認定されます。

上肢（肩関節、ひじ関節、手関節）いずれか１つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合で、かつその関節の可動域が健康側の可動域と比較して２分の１以下に制限された場合には、後遺障害等級８級に認定されます。

さらに、上肢（肩関節、ひじ関節、手関節）いずれか２つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合で、かついずれの関節も可動域が健康側の可動域と比較して２分の１以下に制限された場合には、後遺障害等級６級に認定されます。

下肢（股関節、膝関節、足関節）

下肢（股関節、膝関節、足関節）いずれか１つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合、後遺障害等級１０級に認定されます。

下肢（股関節、膝関節、足関節）いずれか１つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合で、かつその関節の可動域が健康側の可動域と比較して２分の１以下に制限された場合には、後遺障害等級８級に認定されます。

さらに、下肢（股関節、膝関節、足関節）いずれか２つの関節に人工関節・人工骨頭の置換手術が行われた場合で、かついずれの関節も可動域が健康側の可動域と比較して２分の１以下に制限された場合には、後遺障害等級６級に認定されます。

一新総合法律事務所は、新潟市、長岡市、上越市、燕三条、新発田市、長野市、松本市、高崎市、東京都の9拠点に事務所を有する、新潟県内最大規模の法律事務所です。
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この記事を執筆した弁護士

五十嵐　亮
（いからし　りょう）

弁護士法人一新総合法律事務所　
理事／弁護士

出身地：新潟県新潟市　
出身大学：同志社大学法科大学院修了
新潟県弁護士会犯罪被害者支援対策委員会（平成22年～）、新潟県弁護士会常議員（平成28年度）、長岡警察署被害者支援連絡協議会会長（令和2年～）、長岡商工会議所経営支援専門員などを歴任しています。
主な取扱分野は企業法務全般（労務・労働・労災事件、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など）、交通事故、離婚。事故賠償チームに所属。
著書に、『労働災害の法律実務（共著）』（ぎょうせい）、『公務員の人員整理問題・阿賀野市分阿賀野市分限免職事件―東京高判平27.11.4』（労働法律旬報No.1889）があります。