脊柱についての一般的な解説は、【交通事故による「脊髄・脊柱」の損傷と後遺障害（https://www.kotsujiko-niigata.com/column/2236/）】のコラムで解説しました。

 

今回は、脊柱の圧迫骨折とその後遺障害について解説していきたいと思います。

脊柱の後遺障害について

脊柱は、いわゆる「背骨」のことです。

もう少し詳しくいうと、脊柱は、頭がい骨のすぐ下の環椎（第１頚椎）から頚椎７個、胸椎１２個、腰椎５個の合計２４個の椎骨（椎体）が連なって構成されていることになります。

なお、解剖学上は、腰椎の下に位置する「仙骨」と「尾骨」も脊柱の一部なのですが、後遺障害等級認定上は、仙骨と尾骨は、脊柱に含まないものとして整理されています（仙骨は後遺障害上は、骨盤骨に含めて取り扱うものとされています）。

脊柱の運動障害について

脊柱の運動障害についての後遺障害等級と認定要件は、以下の表のとおりです。

 

等級	認定要件
６級	以下のいずれかにより、頚部および胸腰部が強直したもの ①頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存在しており、そのことがＸ線写真等により確認できるもの ②頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの ③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
８級	以下のいずれかにより、頚部または胸腰部の可動域が参考可動域の１／２以下に制限されたもの ①頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがＸ線写真等により確認できるもの ②頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの ③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

 

脊柱の運動障害は、圧迫骨折や脊椎固定術等の運動障害の原因となる他覚的所見が必要となります。

単に、痛みだけで運動制限が生じている場合は、運動障害の対象になりません。

 

８級の場合には、参考可動域の１／２以下に制限される必要があります。

参考可動域は以下の表のとおりです。

 

【頚部】

主要運動

参考運動

屈曲・伸展	回旋	側屈
参考可動域角度 １１０°	参考可動域角度 １２０°	参考可動域角度 １００°

屈曲 ６０°

伸展 ５０°

左回旋 ６０°

右回旋 ６０°

右側屈 ５０°

左側屈 ５０°

 

【腰部】

主要運動

参考運動

屈曲・伸展	回旋	側屈
参考可動域角度 ７５°	参考可動域角度 ８０°	参考可動域角度 １００°

屈曲 ４５°

伸展 ３０°

左回旋 ４０°

右回旋 ４０°

右側屈 ５０°

左側屈 ５０°

 

頚部と腰部とでは、回旋が主要運動なのか参考運動なのかという点が異なるので、注意が必要です。

後遺障害認定をする際には、原則として主要運動の可動域制限について判断されることになります。

屈曲と伸展、左右の回旋、左右の側屈はそれぞれ同一面上の運動ですので、両者の運動の合計の角度を比較することになります。

脊柱の荷重機能障害について

荷重運動障害は、自賠責の後遺障害等級表（自賠令別表第２）には該当するものがありませんので、相当等級として認定されることになります。

具体的には、以下の表のとおりです。

 

等級	認定要件
６級相当	脊柱圧迫骨折・脱臼、脊柱を支える筋肉の麻痺、または項背部臀部軟部組織の明らかな器質的変化が存し、それがエックス線写真等により確認できる場合で、頚部および腰部の両方に保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの
８級相当	脊柱圧迫骨折・脱臼、脊柱を支える筋肉の麻痺、または項背部臀部軟部組織の明らかな器質的変化が存し、それがエックス線写真等により確認できる場合で、頚部または腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を要するもの

 

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