高次脳機能とは、それまで経験した知識・記憶や言語と関連付けて理解したり(認知)、言葉で説明したり(言語)、新たに記憶したり(記憶)、目的を持って行動したり(行為・遂行)、社会的な言動ができる(情動・人格)等の能力のことをいいます。
高次脳機能障害は、これらの高次脳機能が障害された状態をいいます。
高次脳機能障害の症状としては、記憶力・認知力の低下、理解力・判断力の低下、集中力・持続力の低下、社会的行動力(協調性等)の低下等があります。
高次脳機能障害は、障害の内容がはっきりしたものではなく、本人、家族、医師によって見過ごされることも多いのですが、現在では、自賠責保険も高次脳機能障害を後遺障害として認定するようになっています。
自賠責保険における、高次脳機能障害の認定ポイントをご説明します。
等級認定のポイントは、大きく分けて、
①交通事故による脳損傷の有無
②障害の内容・程度
があります。
交通事故による脳損傷があるというためには、頭部への外傷が認められ、意識障害があり、脳損傷が画像資料から確認できることが必要です。
まず、頭部への外傷としては、頭蓋骨骨折、局所性脳損傷(硬膜外血種、硬膜下血腫、脳挫傷、脳内血種)、びまん性脳損傷(びまん性軸索損傷)があります。
交通事故によりこれらの外傷があったと診断されている必要があります。
次に、意識障害が認められるかがポイントとなります。
高次脳機能障害は、意識消失を伴うような頭部外傷後に起こりやすいとされているからです。
意識障害の評価方法には、JCS(ジャパンコーマスケール)とGCS(グラスゴーコーマスケール)があります。
自賠責保険における後遺障害等級認定の場面では、事故後に一定の意識障害(半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態:JCSが3~2桁、GCSが12点以下)が少なくとも6時間以上、もしくは、健忘あるいは軽度意識障害(JCSが1桁、GCSが13~14点)が少なくとも1週間以上続いた症状)が存在したか否かをポイントとしています。
ここで、注意したいのが、意識障害の意味です。
意識障害というと「気を失っている」状態を思い浮かべると思いますが、JSCやGCSにいう意識障害は、「どこにいるかわからない」、「名前や生年月日が答えられない」、「今日が何月何日かわからない」という場合にも当てはまりますので、要注意です。
3つ目に、脳の画像所見です。
画像所見の検査機器には、CT、MRI等があり、CT、MRI等により脳の器質的(物質的な・物理的な)病変が認められることが必要です。
高次脳機能障害の症状は、全般的な情動障害、認知障害、人格変化等ですから、被害者の日常生活における具体的な症状をつぶさに、正確に把握することが必要です。
高次脳機能障害の症状を判断するためには、日常生活状況の報告を行うともに、神経心理学的検査を行うことが必要です。
まず、日常生活の報告は、所定の書式を用いて行います。
日常生活状況の報告は、事故前と事故後の人格・情動の変化を示すものですから、医師や看護師のみならず、家族、職場の同僚、友人・知人等から詳細に聞き取りを行うことになります。
これらの聞取り作業によって、事故前と事故後の変化を明らかにしていくのです。
次に、神経心理学的検査は、実際の症状を裏付けるための検査です。
主な検査には、以下のようなものがあります。
WAIS-Ⅲ いわゆるIQテストです。
MMS(E) 簡易な認知症検査です。24点以上で正常とされています。
長谷川式知能評価スケール 簡易な認知症検査です。20点以下は認知症の疑いありとされていま
す。
標準失語症検査(SLTA)、WAB失語症検査
標準高次視覚検査
WMS-R
三宅式記銘検査
Benton視覚記銘検査
リバーミード行動記憶検査(RBMT)
語想起テスト
かなひろいテスト
WCST(前頭葉機能検査)
高次脳機能障害の患者は、見た目では正常に見えることもあるので、見落とされることも多いのが特徴です。
また、医師には異常がわからなくても、日常生活や職場での行動によって異変が発覚する場合もあります。
本人に自覚がない場合も少なくありません。
そのため、家族や周囲の方が気づくことが非常に重要です。
特に、頭部外傷(意識障害・記憶障害がある場合は特に要注意)がある場合には、注意して観察する必要があるといえるでしょう。
また、高次脳機能障害が適切に後遺障害として認定されるためには、早期の画像検査や意識障害の検査が重要となることが少なくありません。
ですので、気になる場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
一新総合法律事務所は、新潟市、長岡市、上越市、燕三条、新発田市、長野市、松本市、高崎市、東京都の7拠点に事務所を有する、新潟県内最大規模の法律事務所です。
交通事故被害者の方の相談料は、相談料無料(※弁護士費用特約利用の場合は除く)で承っております。
交通事故による被害、後遺障害、賠償金、慰謝料でお困りの方は、是非ご相談ください。
【対応エリア】
新潟県(新潟市、新発田市、村上市、燕市、五泉市、阿賀野市、胎内市、北蒲原郡聖籠町、岩船郡関川村、岩船郡粟島浦村、西蒲原郡弥彦村、東蒲原郡阿賀町、加茂市、三条市、長岡市、柏崎市、小千谷市、十日町市、見附市、魚沼市、南魚沼市、南蒲原郡田上町、三島郡出雲崎町、南魚沼郡湯沢町、中魚沼郡津南町、刈羽郡刈羽村、上越市、糸魚川市、妙高市、佐渡市)、長野県(長野市、松本市、上田市、岡谷市、飯田市、諏訪市、須坂市、小諸市、伊那市、駒ヶ根市、中野市、大町市、飯山市、茅野市、塩尻市、佐久市、千曲市、東御市、安曇野市、南佐久郡、北佐久郡、小県郡、諏訪郡、上伊那郡、下伊那郡、木曽郡、東筑摩郡、北安曇郡、埴科郡、下高井郡、上水内郡、下水内郡)、群馬県(高崎市、前橋市、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、渋川市、藤岡市、富岡市、安中市、みどり市、北群馬郡、多野郡、甘楽郡、吾妻郡、利根郡、佐波郡、邑楽郡)
交通事故被害者 電話無料相談
当事務所では交通事故チーム所属の弁護士による無料電話相談を行っております。電話相談をご希望の方は「電話相談希望」とお申し付けください。
新潟県弁護士会・長野県弁護士会・群馬弁護士会・東京弁護士会所属
Copyright(c) ISSHIN PARTNERS
弁護士法人 一新総合法律事務所
Copyright(c) ISSHIN PARTNERS