今回は、物損事故における損害の基本的な考え方についてお伝えできればと思います。
事故賠償における「損害」は、基本的に事故前の経済状態と事故後の経済状態の差を損害と捉えることになります。被害者の事故前の経済状態が回復されることをもって、法律上の「損害」の填補がなされたものと考えられます。
2つの事案を比較して損害の考え方を整理します。
【事案1】
Aが駐車場に自身の保有する自動車(車両時価100万円)を停止させていたところ、Bが運転する自動車が接触し、A車の助手席のドアが凹損した。
修理費に20万円掛かった。
【事案2】
Aが自身の保有する自動車(車両時価100万円)を運転し、赤信号に従い停止していたところ、後続のBが運転する自動車が追突し、Aの自動車は廃車となってしまった。
Aは、200万円の新車を購入した。
いずれの事案も、Aに過失は認められないため、AはBに対して損害を全額請求できることになります。
また、Aの事故前の経済状態は「自動車(車両時価100万円)を保有・使用する状態」と考えられます。
【事案1】については、考え方は単純です。
Aは事故がなければ20万円の修理費を支出することなく、自動車をそのまま使用することができました。
したがって、AはBに対し、修理費相当額である20万円を損害賠償請求することができます。
【事案2】はいかがでしょうか。
Aの自動車が廃
車になってしまった場合、もう自動車は使い物にならないので、Aの事故後の経済状態は、事故前からマイナス100万円分変動したことになります。
そうだとすると、Aの事故前の経済状態を回復させるためには、BはAに対し100万円を支払うことが必要であり、かつそれで十分ということになります。
Aが新車を購入するために200万円を支出したとしても、Bに対し200万円を請求することはできないのです。
上記のように考えると、物損における損害は、「修理費」と「車両時価」を比較し経済状態がどのように変動したかを考えていくこととなります。
物損事故の損害の考え方を知ることで、実際に事故に遭ってしまった場合の対処についてより見通しが立てやすくなります。
<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2021年10月5日号(vol.261)>
※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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