弁護士法人 一新総合法律事務所 新潟の弁護士による交通事故被害者相談

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遷延性意識障害

交通事故被害によりご家族が遷延性意識障害と診断された方へ

交通事故によって脳に損傷を負った結果、遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)といわれる重度の昏睡状態になることがあります。
遷延性意識障害とは、一般に「植物状態」といわれ、交通事故による後遺障害の中で最も重い障害です。

交通事故によって大切なご家族が遷延性意識障害となった場合には、通常の交通事故時の対応のほか、ご家族の皆様が考えなければならないことが多々生じてきます。
そのような場合に、ご家族の皆様をサポートするべく、法律事務所がお手伝いできることは大きく分けて4つあります。
それは、刑事手続に関する対応、成年後見の申立て等の対応、後遺障害等認定手続に関する対応、損害賠償請求に関する対応です。

1.交通事故の加害者の刑事手続に関する対応

重大な交通事故が発生すると、交通事故を引き起こした加害者を処罰しなければならない場合があります。
飲酒運転や薬物を服用しての運転、無謀な運転などによって死亡事故などの重大な交通事故(交通犯罪ともいいます。)が発生したり、最近では、いわゆる「ひき逃げ」(救護義務違反)に対する刑罰も強化されています。
そのような悪質運転だけでなく、一人の人間が重い障害を抱える状態となるような交通事故が発生した場合には、何かしら不注意であったり、運転を行う上での過失を伴うことも少なくありません。

被害者家族としては、
  • 交通事故により大切なご家族が遷延性意識障害となったことによる苦痛
  • 交通事故の加害者を厳しく処罰してほしいという処罰感情
  • 交通事故の加害者や警察署などの捜査機関への対応の不安
  • どのような交通事故であったかという詳しく知りたいという真実発見願望
など、ご家族それぞれに様々な想いがあると思います。

そのようなご家族の様々な想いに対し、裁判を通して、弁護士がサポートさせていただくことができます。
現在では、被害者参加制度といって、交通事故の加害者に対する刑事裁判にも、被害者家族が裁判に出廷して加害者に質問したり、加害者の処遇について意見を述べたりすることができます。
もちろん、このような参加をしないで結果だけ知りたい、あるいは関与したくないという選択もできます。
当事務所の弁護士は、このような被害者ご家族が刑事手続に参加する際に、あるいは参加するかどうかを検討する際に、経験や法律に基づく様々なアドバイスやサポートを行うことができます。
他にも、交通事故の被害者のご家族には、加害者本人からの連絡や、加害者の家族や保険会社からの連絡、加害者の弁護人である弁護士からの連絡などがあるかもしれません。
このような連絡に対し、当事務所の弁護士が連絡の窓口となり、加害者側からの連絡に対し、どのように対応すべきかと協議しながら進めていくことができます。

2.成年後見の申立て等の対応

遷延性意識障害と診断された方は、意思の疎通が困難なことから、加害者や保険会社に対する損害賠償請求の意思や、ものごとを判断する能力が失われてしまっているとされます。
そのため、被害者の方に代わって交通事故の損害賠償請求手続を進めていく人(成年後見人)を選任する必要があります。
成年後見人を選任するためには、家庭裁判所に対し成年後見の申立てを行う必要があり、申立てを行うことができるのは、本人、配偶者、四親等以内の親族、市区町村長などに限られています。
申立てを受け、家庭裁判所が成年後見人を選任することになりますが、申立てに際しては、被害者ご本人の親族調査や財産調査が必要となるため、介護をしながら行うことは大きなご負担となります。
しかしながら、遷延性意識障害と診断された方には、日常生活における契約などの判断やご本人の財産管理などあらゆる場面で成年後見人が必要となります。
当事務所では、成年後見人の選任申立てについても弁護士が親身にサポートさせていただき、ご家族のご負担を少しでも減らせるよう尽力いたします。
また、弁護士が成年後見人として家庭裁判所から選任された場合には、申立て手続にとどまらず、被害者ご本人やご家族をサポートさせていただきます。
なお、被害者が未成年者で親権者として父母がいる場合には、父母が法定代理人となり、交通事故の賠償金請求や契約などをすることが法律上認められています。
そのため、成年後見人の選任申立ての必要はありません。

3.後遺障害等認定手続に関する対応

交通事故により被害に遭われた方がが遷延性意識障害と診断された場合、事故からおよそ1年で症状固定(症状がそれ以上良くも悪くもならないと考えられる状態になること)となります。
症状固定と判断されると、後遺障害等認定手続を行いますが、加害者の保険会社が主導して行う場合(事前認定)と被害者側が主導で行う場合(被害者請求)とでは、被害者請求の方法による方が適正な後遺障害等級の認定を受けやすくなります。
また、被害者請求の場合、加害者に対する損害賠償請求に先立って自賠責保険の支払いを受けられるため、介護費や自宅改造費などにあてることができます。
当事務所では、自賠責保険への被害者請求を積極的に行い、適正な後遺障害の認定を受けられるよう弁護士がサポートいたします。

4.損害賠償請求に対する対応

遷延性意識障害と診断された方が、後遺障害等級の認定を受けた後は、交通事故によって発生した損害(慰謝料など)について、損害賠償金の請求を行うこととなります。
通常は加害者が加入している任意の保険会社が交渉相手となります。
先だって自賠責保険金の支払いを受けている場合は、自賠責保険金で足りない分の金額に限り加害者に請求することになります。
交渉で話がまとまらない場合には訴訟に移行しますが、遷延性意識障害のケースでは損害額が多いので、訴訟になることが少なくありません。
その場合、次のような点が争点として考えられます

  • 将来必要になると想定される介護費
  • 余命の問題
  • 生活費控除の問題
  • 過失割合の問題

保険会社を相手にご家族の方が裁判を起こし、上記の点について加害者側の主張に対して反論をし、適切な損害賠償請求を受けることは容易でないだけでなく、精神的なご負担も増えてしまいます。
当事務所の弁護士が損害賠償請求のサポートさせていただくことで、ご家族は介護に集中していただけます。
少しでもご負担を減らし、適切な損害賠償を受けるためにも、お早めに弁護士にご相談ください。

手続の流れ

1.遷延性意識障害(いわゆる植物状態)について

交通事故によって脳に損傷を負った結果、『遷延性意識障害』(せんえんせいいしきしょうがい)といわれる重度の昏睡状態になることがあります。
寝たきりになり、意思疎通もほとんどできなくなるので、一般に植物状態といわれます。
遷延性意識障害の定義

  • 自力移動が不可能である
  • 自力摂食が不可能である
  • 糞尿失禁がある
  • 声を出しても意味のある発語が全く不可能である
  • 簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である
  • 眼球は動いていても認識することはできない
交通事故の被害者が遷延性意識障害となった場合、被害者本人はもちろんそのご家族の生活にも大きな影響を及ぼします。
被害者は生活全般にわたって介護が必要な状態となるため、ご家族が介護中心の生活へとシフトせざるをえなくなることもあります。

当事務所は、遷延性意識障害になってしまった被害者の方やそのご家族に寄り添い、少しでもご負担を軽減できるようサポートいたします。

2.遷延性意識障害事案の事件処理の一般的な流れ

交通事故

刑事裁判への被害者参加


必要に応じて弁護士が被害者参加弁護士としてサポートいたします。

成年後見人の選任

弁護士が成年後見人選任申立手続についてサポートいたします。

症状固定

後遺障害等級の認定(自賠責保険金の請求)

弁護士が成年後見人(またはその代理人)として、自賠責保険の被害者請求を行います。

加害者に対する損害賠償請求

自賠責保険で填補されなかった分の損害を交通事故の加害者に請求します

3.刑事裁判への被害者参加

遷延性意識障害のような重症事案の場合、加害者は刑事裁判にかけられることがあります。
その場合、被害者のご家族は死亡事案の場合と同様、被害者参加制度が利用できます。

被害者参加制度について詳しくはこちら

4.成年後見人の選任

遷延性意識障害になった場合、被害者ご本人には自分で契約を締結したり、財産を管理したりする能力がなくなってしまいます。

 

この場合、被害者のご家族であっても、当然には被害者本人に代わって契約の締結や、財産管理をすることができるようになるわけではありません(被害者が未成年者であれば、親権者が未成年者の財産を管理することが可能です)。


そこで、家庭裁判所に申立てをして『成年後見人』を選任してもらう必要があります。


成年後見人は、被害者本人に代わって各種契約の締結や財産管理を行います。その一環として、交通事故の加害者に対する損害賠償請求や自賠責保険金の請求についても成年後見人が行うことになります。

成年後見人として誰が選ばれるかは裁判所の判断になりますが、交通事故で相談にのってもらっていた弁護士をそのまま成年後見人に選任してもらえるケースもあります。

 

ご家族が成年後見人に選ばれた場合でも、弁護士がその成年後見人から依頼を受けることで、自賠責保険金の請求や加害者に対する損害賠償請求についてサポートすることが可能です。
なお、当事務所において、成年後見開始の申立てにかかる業務をあわせて受任することも可能です。

5.後遺障害等級認定(自賠責被害者請求)

遷延性意識障害は、事故からおよそ1年で症状固定(=症状がそれ以上良くも悪くもならないと考えられる状態になること)となります。

 

症状固定と判断されると、後遺障害等級認定の手続にうつります。後遺障害の等級は1級(重い)から14級(軽い)までに分類されており、重い等級ほど支払われる損害賠償金の額も大きくなります。


遷延性意識障害のケースでは、最も重い1級が認定される可能性があります。
したがって、1級相当の事案では、適正に1級を認定してもらえるよう後遺障害診断書などの資料を準備する必要があります。

 

後遺障害等級の認定手続には、加害者の保険会社が主導して行う事前認定と被害者側が行う被害者請求の2つの方法がありますが、被害者請求の方法による方が適正な後遺障害等級の認定を受けやすくなります。

 

また、被害者請求の場合、加害者に対する損害賠償請求に先立って自賠責保険金の支払いを受けられるメリットもあります。

1級が認定された場合、最大4000万円の限度で保険金の支払いを受けることができるので、これを介護費や自宅改造費になどにあてることが可能です。

 

当事務所では、自賠責保険への被害者請求を積極的に行い、適正な後遺障害の認定を受けられるよう努めています。

6.損害賠償請求に関する問題点

遷延性意識障害特有の問題点

後遺障害等級の認定を受けた後は、いよいよ交通事故の加害者に対し損害賠償を請求することになります。
通常は加害者が加入している任意保険会社が交渉相手となります。

先だって自賠責保険金の支払いを受けている場合は、自賠責保険金で足りない分の金額に限り加害者に請求することになります。

交渉で話がまとまらない場合には訴訟に移行することもあります。
遷延性意識障害のケースでは、損害額が大きいので、適正な賠償額を得るために訴訟になることが少なくありません。

介護費の問題

遷延性意識障害のケースでは、加害者に対し、将来必要になると想定される介護費の請求をすることができます。
いわゆる将来介護費です。

将来介護費について、被害者側が在宅介護のために必要となる金額を基準に請求すると、加害者側から医療機関等における介護を基準に算定すべきであると反論されることがあります。

余命の問題

将来介護費等については通常、一般人の平均余命に基づいて金額を計算します。

たとえば症状固定日時点で30歳であった人の平均余命は49年ですので、この年数をベースに将来必要になると想定される介護費を計算して請求します。

生活費控除の問題

遷延性意識障害のケースでは、被害者は生涯にわたって就労することができなくなりますので、加害者に対し、事故がなければ得られたであろう収入(逸失利益)の賠償を請求することができます。

逸失利益は、基本的に被害者の基礎収入額に就労可能年数(症状固定時から67歳までの年数)をかけ算したものから、中間利息を控除して求められます。

これが死亡事故の場合であれば、死亡後は亡くなった方の生活費の支出を要しなくなるので、その分の生活費控除率(概ね30~50%)を概算して、上記の金額からさらに差し引いて逸失利益を計算します。

遷延性意識障害のケースでは、被害者が亡くなったわけではありませんので、その後も被害者の生活費はかかり続けます。
しかし、加害者の側からは、遷延性意識障害の人に必要な生活費は健常者よりも少額であるとして、遷延性意識障害の場合にも死亡事故の場合に準じて、一定程度生活費を差し引いて逸失利益を算定すべきであるとの主張がなされることがあります。

交通事故の被害者側としては、このような生活費控除に関する加害者側の主張に対しても、しっかりと反論していかなければなりません。

過失割合の問題

交通事故の原因について被害者側にも落ち度(前方不注視、一時停止義務違反など)があれば、その分賠償を受けられる金額が減らされてしまいます。
これを過失相殺といいます。

遷延性意識障害の場合、被害者が交通事故当時の状況を説明できないことから、加害者側の言い分をもとに捜査資料等が作成され、被害者に不利な形で過失割合が決まってしまうことがあります。

加害者から過失相殺の主張がなされた場合には、関係者の供述調書や実況見分調書などの刑事裁判の資料を検討し、また必要に応じて目撃者からの事情聴取をするなどして事実関係を調査したうえで、適切な反論を準備する必要があります。

被害者参加から損害賠償請求までトータルでサポートします
被害者参加から損害賠償請求までトータルでサポートします

交通事故で身近な人が遷延性意識障害になってしまった場合、ご家族の精神的・経済的・肉体的負担は計り知れないものがあります。

当事務所では、刑事裁判への被害者参加から後遺障害等級の認定(自賠責保険への被害者請求)、加害者に対する損害賠償請求にいたるまでトータルでサポートすることが可能です。
被害者の方やご家族の皆様は安心して治療・介護に集中していただけます。

適正な賠償金を得られるよう最善を尽くします
適正な賠償金を得られるよう最善を尽くします

遷延性意識障害になった場合、残されたご家族には経済的な面でも大きな影響を与えます。

私たちは、長年のノウハウを活かして適切な手続を選択し、できるだけ早く適正な損害賠償金を得られるよう最善を尽くします。

障害年金の申請についてもご協力が可能です
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遷延性意識障害になった場合、被害者の方は障害年金を受給できるようになるのが通常です。

当事務所では社会保険労務士と提携しておりますので、障害年金受給申請についてもあわせてご協力することが可能です。

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