「過失割合」とは、
交通事故の当事者の事故発生についての不注意の割合をいいます。
本来は、客観的な事故状況、道路交通法などの法規、過去の裁判例から、裁判官が決めます。
これらの事情を参考に、当事者が合意しても構いません。
「過失」とは交通事故を発生させる原因となった不注意をいいます。
赤信号で停止しているところに後ろから追突した場合、運転者の前方注視義務、すなわち、前をよく見て、ぶつかりそうになったら、衝突を回避するために止まらなければならないという義務の違反が問題となり、それに違反して、不注意にも追突してしまったというのが過失になります。
追突されたほうは、後ろを注意して追突されそうになったら逃げなければいけない、しかも、赤信号を無視して逃げなければならないという義務はありません。
したがってこの追突事故は、追突した運転者の過失(不注意)によってのみ発生したということになり、過失割合は100対0と言えます。
それでは、同じ幅の道路の交差点で、信号も、一時停止標識もない場合、直進車同士が衝突した場合はどうでしょうか。
どちらも、交差点に進入するに際しては、衝突を避けるために、交差道路から来る自動車に気をつけて衝突を回避する義務があります。どちらかがこの義務を果たせば、衝突せずに済んだのですから、交通事故が起きたのはどちらにも不注意があったからと言えます。
立場はほぼ同じですが、道路交通法上信号のない交差点では左方の自動車を優先しなければならないので、向かって左側の自動車が40%、向かって右の自動車が60%とするのが多くの裁判例です。
過失割合の例
それでは、どちらか一方に一時停止標識があった場合はどうでしょうか。
一時停止標識がない道路の直進車も交差点に進入するにあたって、交差道路からくる自動車に気を付ける必要があります。
一時停止標識がある直進車は一時停止をして交差道路からくる車両を注意しなければならない道路交通法上の義務を負うので、さらによく注意しなければなりません。
この場合も、どちらかが注意すれば交通事故は起きませんので、交通事故が起きたということは、どちらにも不注意があったといえます。
その場合、一時停止標識がある道路を直進したほうが不注意が大きく80%、無いほうが20%とするのが多くの裁判例です。
それでは、優先道路とそうでない道路はどうでしょう、優先道路でない道路から優先道路に入ろうとする自動車は優先道路の進行を妨げてはならないという道路交通法上の義務があります。
これに対して、優先道路を走っている自動車も前方を注意して交通事故を避ける義務があります。
この場合優先でないほうが不注意が大きく90%、優先道路は10%とするのが多くの裁判例です。
それでは、優先道路とそうでない道路はどうでしょう。
優先道路でない道路から優先道路に入ろうとする自動車は優先道路の進行を妨げてはならないという道路交通法上の義務があります。
これに対して、優先道路を走っている自動車も前方を注意して交通事故を避ける義務があります。
この場合、優先でないほうが不注意が大きく90%、優先道路は10%とするのが多くの裁判例です。
このように、過失割合は、交通事故が起きた時の状況、法律上の義務、過去の裁判例などで決まってきます。
弁護士に依頼した方がいい場合
裁判では、交通事故のときに警察が作った実況見分などの証拠や法廷での事故当事者の証言などをもとに、裁判官が法律や過去の裁判例に基づいて決めます。
したがって、本質的には、話し合いで自由に決まるものではありません。
ただ、示談交渉では、過去の裁判例では、70対30であるけれども、相手に少し譲って早く解決するために65対35とすることもあります。
もちろん、交通事故の現場で、「お前が悪い。」と言って人のせいにしたほうが過失が少なく、気が小さく思わず謝ったほうが過失が大きいというものではありません。
100対0の交通事故では、過失のない側の保険会社は保険金を支払わないことから示談代行ができません。
そのため、あえて95対5とすることを求める場合もあります。
自分がまったく悪くないのに、どうして、過失を認めなければならないのかと不合理に感じます。
「過失を少しでも認めないと示談できない。」というのはこういう意味もあるのです。
そんな時は、弁護士に依頼して、堂々と過失0を主張したほうが良いでしょう。
過失割合が決まらないと示談はできません。
それは、過失割合が決まらないと賠償金の金額が決まらないからです。
一時停止標識のある交差点での出会い頭の交通事故で、一時停止違反をしたA運転の車両の修理代が200万円、一時停止標識のないB運転の車両の修理代が50万円であった場合、どちらも悪いのだから、BがAに200万円を支払い、AがBに50万円を支払って解決ということにはなりません。
このような場合は、事故発生についてどちらがどの程度悪いかという過失割合を定めます。
この場合は、Aの過失割合70、Bの過失割合30とするのが裁判例です。
Aの修理代200万円のうち、70%が自己負担で、30%の60万円をBに請求できます。
Bの修理代50万円のうち30%が自己負担で、70%の35万円をAに請求できます。
結果的には、過失の大きいAが過失の小さいBよりも、高額な賠償金を請求できるので、何となく、しっくりいきませんが、このような処理になります。
不注意は防げますが、相手の損害額の大小は交通事故にあってみないとわかりません。
自動車保険が必要な理由の一つです。
交通事故被害者の不安を一日でも早く取り除くため、弁護士が最大限のサポートをいたします。
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新潟県弁護士会・長野県弁護士会・群馬弁護士会・東京弁護士会所属